新・富裕層マネー
前回、「日本の富裕層」の書評を書きましたが、今回は日本経済新聞社が出版した「新・富裕層マネー」を読みました。
- 作者: 日本経済新聞社,日経=,日本経済新聞=
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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この本は特定の著者じゃなく日経金融新聞の連載をまとめた本のようです。
従って元々金融サービスに携わる人を対象に書かれた内容なので一般読者の方にはあまりお勧めできません。
内容的にも、年配者の投資信託の話とか子供に株式の口座を開かせる馬鹿な親の話とかアメリカの銀行のリテール戦略の話とか、富裕層に関係にない話も多く私は不満です。(この本も題名に偽りありですね。)
富裕層を深く分析しているわけでもなく、ただ現象を追っているだけの本です。
しかし、この本にもありますが大手都市銀行等がプライベートバンクの真似事に夢中になっているのはお笑いですね。
プライベートバンクとは元々の発祥はその名のとおり少人数のパートナーシップの出資者による無限連帯責任がベースの銀行です。
無限連帯責任のためリスクに関してはかなり慎重で、そのあたりは財産を守りたい顧客とプライベートバンクの組織としての目的が一緒の方向を向くいいパターンですね。
日本の都市銀行は株式会社であり上場企業です。利益追求が一番の目的の組織が、顧客の利益を守るため自分の組織より優先した行動を果たして取れるでしょうか?それが無理なことはバブル期を通じての金融機関の行動でわかりきっていますよね。(過剰融資、変額保険販売等)
従っていくらプライベートバンクの真似事をしても本質のところではまったく違う組織体の為、真似の域を出ることはないと思います。(銀行が儲ける事は出来るかもしれませんが…)
私がもしも本当の富裕層なら(非現実的ですが…)、絶対に本物のプライベートバンクを使い日本の金融機関のプライベートバンクもどきのサービスは受けません。(断言)