数字はみるな!
この本は副題が「簿記があなたの会計力をダメにする。」と、会計人から見るとかなり挑発的な副題です。
- 作者: 田中靖浩
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2006/09/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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会計人を批判しているのかと思ったらなんのことはない、この人は公認会計士ではないですか。
http://www.yasuhiro-tanaka.com
数字を作るための勉強と数字を見るための勉強は区別したほうがいいという著者の意見には賛成です。確かに専門職以外は「数字を作る」技術である簿記を勉強する必要はないと思うのですが、「数字を見る」ための勉強は何からはじめたらいいの?と質問されればなかなか答えは難しいですね。
またこの本のねらいでもある専門家が自分の専門分野の事を他の人に分かりやすく簡単に説明するというのは、ある意味で専門家の一生の宿題ともなるテーマです。(私も税理士ですが未だに留保金課税を上手に説明できません。)
しかしこの著者、たったこれだけのネタでビジネス本を一冊書き上げる文章力はたいしたものだと思いました。
一つだけ辛口を言わさせていただくと、著者HPのメインページにも書いてある
「公認会計士」の肩書きで硬い仕事、「元公認会計士」の肩書きでやわらかい仕事」、どちらでも「新しく、そして楽しい仕事」を展開中です。
というのは少し納得できません。
確かにこの本は「公認会計士」という肩書きでは執筆していませんが、この言い方は公認会計士でも税理士でもその職業に誇りを持ち、その職責を全うしようとしている人間から見たら少し気に障るのではないでしょうか。
この文章からは、自分は普通の「公認会計士」ではないということをアピールしつつ、「元公認会計士」という肩書きで公認会計士のイメージをいいとこ取りをしようとするセコさを感じます。
本来なら会計士と関係ない仕事であれば「元公認会計士」という意味不明な肩書き(現役でありながらなぜ元〜?)をわざわざ名乗らずとも、素の「田中靖浩」という名前で仕事をしたらいいだけの話です。
税理士にもブログ等で○○税理士と名乗ってイメージのいいとこ取りをしようとしている人間がいますが、単純に「税理士」という直球で勝負できない逃げを感じます。
しかし会計人が書いた本は「さおだけ〜」をはじめとして読んでがっかりする本が多いのですが、つい内容をチェックしてしまいますね。