不二家の不祥事に思う事
昨年のパロマ工業、今年の不二家と老舗企業の不祥事が止まりません。
- パロマ 創業1911年
- 不二家 創業1910年
両社ともあと少しで100周年になろうかという老舗企業です。
100年ということはあの戦争でさえ無事乗り切ったという事ですが、昨今の不二家の報道を見ると本当に100年近く続いてきた企業かと目を疑います。
すこし前に「千年、働いてきました」という本を読みました。
千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)
- 作者: 野村進
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2006/11/09
- メディア: 新書
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この本は各地の元気のある老舗製造業を取材しまとめた本です。
著者によると、取材してきた元気のある老舗企業には次の5つの共通項があると述べています。
- 同族経営は多いものの、血族に固執せず、企業存続のためなら、よそから優れた人材を取り入れることに躊躇しない。
- 時代の変化にしなやかに対応してきたこと。
- 時代に対応した製品を生み出しつつも、創業以来の家業の部分は、頑固に守り抜いていること。
- それぞれに分をわきまえていること。
- 町人の正義つまり売り手と買い手とが公正と信頼を取引の基盤に据えてきたこと。
以上5つを挙げています。
しかし2社とも見事に5つの条件を満たしていないですね。
今回の不二家やパロマに関しては、同族経営についての批判も出ています。しかし同族経営の会社がすべてこのような不祥事を起こすわけでもないし、最近の東京三菱UFJ銀行や関西テレビなどを見ても同族経営でない公開会社でも不祥事は発生します。
とはいっても同族経営の会社の場合、あまり優秀でない人間が後継者になる確率が公開会社と比べて高いことが一つの原因のような気はします。
私は著者の言うところの共通項の一番目に述べている事がやはり一番大事だと思います。
今回の不祥事はやはり同族の後継者の能力を超えた規模の会社に、両社ともなってしまったのが一番の原因ではないでしょうか?
- 不二家 連結売上高 848億円(2006年3月期)
- パロマ 連結売上高 2413億円(2005年)
この規模の企業はすでに社会の公器であり、経営のプロか優秀なプロパー社員に経営を任せるべきで、能力の無い血族が後継者になった場合には社員が可哀想です。
優秀ならば血族の後継者でもいいと思いますが、一般的にその後継者が優秀かどうかの判断は、就任前には困難な事がこの問題の難しいところですね。(いったん経営者になったら会社がおかしくなるまでなかなか辞めないでしょうし・・・。)
最後に日本の老舗企業はある面では国の宝でもあります。著者によれば創業100年以上の会社は日本に推計10万社以上、世界最古の会社は大阪の金剛組(なんと創業1400年)で、このように老舗企業が数多く残っている国は日本だけです。
両社とも膿を出し切って無事100周年を迎えられる事を望みます。