yoshida's blog

京都で税理士をしている吉田貢のブログです。

[税理士業界]建設会社と会計事務所

建設会社で会計事務所に記帳代行を頼んでいるところは、多くの場合このような状況ではないでしょうか?

  • 会計事務所が出してくる試算表がよくわからない。
  • 今現時点でいくら利益が出ているか会計事務所の担当者もよくわかっていないよう。
  • 経営に役立つ資料を提供してもらえない。

その原因は、会計事務所がその会社が建設会社なのに一般企業向けの会計ソフトを使い月々の処理をしているからです。
建設業の場合、月末の仕掛工事(未成工事支出金)の正確な残高がわからなければ正確な試算表は出来ません。会計事務所の月々の処理では、正確な仕掛工事の残高を把握することは多くの場合不可能なのです。
なぜ会計事務所では不可能なのでしょうか?それは建設業会計の場合、原価を発生現場ごとに振り分ける処理が必要で、多くの場合その処理を会計事務所で行うとなると現在の2〜3倍以上(場合によってはもっと)の処理量になります。
しかし、会計事務所が顧問先の会計を建設業会計でするといっても、今の顧問料の2〜3倍(新規の場合は顧問料相場の2から3倍で契約)をもらえるはずもなく、結局は効率も考えて会計事務所は手間のかかる建設業会計を避けざるを得ないのです。
建設業会計の処理例
・外注先から請求が来たら発生した現場へ振替
(会計事務所の処理)
外注費 ××× / 工事未払金 ×××
   ↓
(建設業会計)
未成工事支出金(A現場) ××× / 工事未払金  ×××
未成工事支出金(B現場) ×××
未成工事支出金(C現場) ×××
未成工事支出金(D現場) ×××


・現場監督が複数の現場を担当している場合、給与をかかった時間で案分
(会計事務所の処理)
給料 ××× / 現金預金 ×××
   ↓
(建設業会計)
未成工事支出金(A現場) ××× / 現金預金  ×××
未成工事支出金(B現場) ×××
未成工事支出金(C現場) ×××
未成工事支出金(D現場) ×××


最初に挙げた3つの問題の解決策は二つしかありません。
一つは会計事務所への顧問料を増やして建設業会計で処理してもらう事です。しかしこれは請求書一式を会計事務所に渡す必要があり、また変更があった場合にも迅速には処理できません。
もう一つは自社で建設業用の会計ソフトを購入し、自社で入力する事です。
私は自社で会計ソフトを導入することを勧めます。多くの建設業用の会計ソフトは実行予算の機能も付いているため、経理処理と実行予算管理が同時に出来きて、その他にも様々な資料(工事台帳、工事別利益一覧等)が出力できるからです。
現在は低価格の建設業用の会計ソフトも数多くあります。まだ導入されていない建設会社は、一度検討されてはいかがでしょうか?