税理士の戦略マップ

副題の「成功する事務所の作り方」につられて購入。

税理士の戦略マップ―成功する事務所の作り方

東京の税理士の方が共著で書かれている本です。
本の内容は、税理士事務所について各種の経営コンサルティングの手法（DMM、SWOT分析、戦略マップ、バランススコアカードなど）を使って分析・提案している本です。
確かに税理士業界についてこのようなアプローチで書かれた本は初めてだと思います。何点か参考になる点もありましたが、この本を読んで感じるこの違和感は何でしょう？
私達税理士業界の人間は、事務所の発展成長（成功）に欠かせない様々な顧客拡大の手法について、わかっているのにやらない（出来ない）のが最大の課題であって、決して戦略がどうだとかミッション・ビジョンがどうとかなどのレベルの話ではないと思います。
例えばDMやホームページ、セミナーで顧客が増えるのがわかっているがやらない（出来ない）、金融機関などの様々な営業ルートが太ければ顧客は増えるのに開拓しない（出来ない）などもっともっと低レベルの話だと思います。
中小企業に様々な前述のような経営コンサルティングの手法が通じないのと同様に、中小企業以下の組織体である税理士事務所にこのような分析をしても意味があるとは思えません。
従ってこの本を読んで成功する税理士事務所が出てくる事はまず無いでしょう。
あと著者の方全員がITコーディネータの資格を持っているらしいせいか、本の中でのITへの過度な期待もどうかなあと思います。