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yoshida's blog

京都で税理士をしている吉田貢のブログです。

「専門家の賢い使い方」を専門家が教えます。

会社って、どうやって作んの?

というエントリーがすごいブクマ数ついたようだ。このエントリーを読んで誤解した人も数多くいたようだから一応専門家としての自分の意見を述べておく。
まずこのエントリーを読んで思うのが、
>専門家にいいように使われちゃうようになる
>専門家活用に伴う主従逆転
という状態が抽象的でよくわからない。

推察するにこのような状況だろうか。

  • わけのわからないまま専門家に言われるとおりにやる。
  • 偉そうにされている。
  • 仕事内容の割には高額な報酬を請求される。
  • 仕事で手を抜かれる。

そもそも専門家というのは顧客から報酬を頂いて仕事をする職業だし、専門家といっても専門的なのは企業経営のごく限定された部分でしかない。
そこで経営者をいいように使ったり主従逆転なんて起きるはずもないし、起きたとしたら本来は報酬を支払うという強い立場にある企業経営者の方に多くの問題点があるような気がする。

またsimpleAさんは、専門家の賢い使い方として

* こっちがいっぱい調べて、
* その上で「専門家にやらせて」、
* やってもらった内容をチェックして、
* 新たな発見があれば吸収し、
* なければ「自分はよく調べたんだな」と納得し、
* 専門家が間違っていれば指摘して訂正させる

このやらせるサイクルを中でしか身につかないと述べている。

まずsimpleAさんは大きな勘違いをしている。
専門家の本当の価値とは、素人がいくら調べてもわからない事を経験則として知っているまたは推察できるという点にある。

(例)
行政書士
「このような記載方法で申請するとあそこの役所は許可が早くおりますよ。」
社会保険労務士
「御社のような業種なら、就業規則のここをこうしておいたほうがトラブルは少ないですよ。」
税理士
「基本的には経費で落とすのは無理だと思いますが、このまま申告して税務調査ではこのような主張をしてみましょうか。」
弁護士
「この手の裁判は○○ヶ月ほどかかり、勝訴できる率は○○%位ですね。」


本やネットのレベルで調べてわかって自分でできる事なら自分ですればいいだけであって、これは専門家の上手な使い方とはいえない。
そもそも企業を取り巻く様々な法律については専門家でも細分化されている。例えば一度使うだけでおそらく二度と使うことのないような税法や民法などの細かな規定について勉強したり調べたりすることに何の意味があるのだろうか?(専門家はその知識を使いまわす。)

またこの方法は自分で会社を興してある程度まで事業を成功させた経験のある経営者なら、おそらくほとんどの人が違うと答えると思う。(私たちの顧問先でも成功している会社でこのようなタイプの経営者はいない。)

企業経営で本当に大事なのは、経営していく上での事業のパートナーとして専門家を使うことであり、自分自身が専門的なことを勉強することではないからだ。
このエントリーの最大の問題である(経営者をいいように使わない)(主従逆転などしない)いろいろな面で信頼できる専門家を探すことが一番重要なのではないだろうか。(これにはいくら時間をかけてもいいと思う。)

私たち専門家から見たら、実際やる気の出る経営者とやる気の出ない経営者がいるというのは現実問題としてある。やる気の出ない経営者には報酬以上の仕事はしないが、やる気の出る経営者には採算や時間を度外視して仕事してしまうことも多い。

専門家の使い方がうまいなあと私が思う経営者(やる気の出る経営者)は

  • この人の為に仕事がしたいと思わせる人間的魅力がある。
  • 事業上のパートナーとして専門家を信頼してくれる。
  • いろいろな疑問点やテーマをぶつけてきて勉強熱心。
  • 敬意を持って接してくれる。

これは専門家にかかわらず、自分の会社の担当の銀行マンだったり取引先の関係者だったり、まわりの人間をやる気にさせる経営者の会社は例外なく伸びていく。
simpleAさんのスタイルに文句をつける気は全然ないし自分の好きな通りにやっていけばいいと思うが、おそらく専門家が一番やる気をなくすタイプの経営者である事は間違いない。

少人数でやっているうちはいいが、事業が拡大し社員も増えてきたらそんな本業以外の勉強をしている時間は絶対になくなるということを付け加えておく。