yoshida's blog

京都で税理士をしている吉田貢のブログです。

不動産会社のおける合理的な消費税節税方法

この前、顧問先の不動産会社の消費税を計算していてものすごく不合理を感じました。
消費税というのは原則的にはもらった消費税から支払った消費税を差し引いて納税するのですが、不動産の場合は土地には消費税が課税されませんので土地の売上は非課税売り上げとなります。

それは特に問題ないのですが消費税を計算する場合、差し引く消費税である仕入税額控除の計算は原則的な計算方法である個別対応方式の場合に控除出来るのは課税売上に直接要した経費に係る消費税共通に要した経費に係る消費税課税売上割合を乗じて計算した消費税となります。

  ※課税売上割合とは会社全体に売上の中で消費税が課税される売上の割合


例えば不動産会社が決算で仲介手数料が2100万円、土地の売上が3000万円、共通に要した経費に係る消費税(主に販売費及び一般管理費にかかる消費税)が70万円あるとします。


この場合、納める消費税は

100万円※−70万円×2000万円/2000万円+3000万円 = 72万円

※2100万円×5/105=100万円


となります。


でもこれをよく考えると、土地の仕入値が例えば2900万円とすると会社の利益としては100万円しか貢献していないのに、課税売上割合には土地の売上の総額で計算しなければなりません。
現実的には仲介手数料の方に大きな労力と経費がかかるにも関わらず、課税売上割合で計算してしまうと大きな不合理が生じます。

実際その顧問先の場合、今期は土地の売買が多かったため例年より消費税がかなり増えました。


ただ消費税法では自ら合理的と思われる割合を「課税売上割合に準ずる割合」として税務署長に承認申請を出して、認められた場合には計算において「課税売上割合に準ずる割合」により計算する事が可能です。


例えば、事業に専従している従業員の数や床面積の割合、取引件数割合などが通達で例示されています。


今まではこの制度利用した経験がないですし多くの税理士も申請した事がないと思いますが、例えば上記の例で利益に応じた割合で計算する事を承認された場合

100万円−70万円×2000万円/2000万円+100万円 = 44万円 


と大きく納税額が減りますしこちらの計算方法の方が企業の実態に合っていると思います。その他通達で例示している取引件数割合も実態に近いような気がします。

ただ税務署長が承認する基準が判りませんので、この顧問先については最初は取引件数割合で承認申請を出してみて、その次に利益割合で承認申請を出してみようと思います。

他の不動産会社でこんな計算方法が承認してもらったという事例があればコメントいただけると嬉しいです。