yoshida's blog

京都で税理士をしている吉田貢のブログです。

うっかりっていうにはあまりにも大きなミス

うっかり税減免申請遅れ…明電舎、80億申告漏れ
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070709it05.htm
東京・JR大崎駅西口の再開発計画に伴う土地売却をめぐり、重電メーカー「明電舎」(東京都中央区)が税金の減免措置を期限内に申請しなかったため、東京国税局から約80億円の申告漏れを指摘されていたことがわかった。
追徴税額は過少申告加算税を含めて約28億円に上り、同社はすでに全額を納付している。単純ミスが多大な税負担を招いた格好で、同社は「勉強不足だった」と反省しきりだ。
この土地は、JR大崎駅西口にある明電舎の工場跡地。同社はこの土地を1913年(大正2年)ごろに取得し、約15年前までは発電機などを生産する工場を稼働させていた。
付近一帯が2002年に再開発地区として都市計画決定されたことを受けて、同社は新しい本社とテナントが入る30階建て(地下2階)のオフィスビル「シンクパークタワー」の建設を計画、土地の一部を売却して建設費を捻出(ねんしゅつ)することにした。
しかし、大正時代に取得した土地を売却すれば膨大な利益が出て、税負担も重くなる。このため、同社では、土地の売却益をビルの建設費に充てた場合、税金が減免される租税特別措置法の圧縮記帳という税制上の優遇措置を受けることを決めた。この措置によって、一定期間にわたって経費計上が認められる減価償却額は少なくなるものの、一度に過大な税負担が生じるのを避けられる。
同社は05年3月、工場跡地約1万9000平方メートルの半分をビルの共同開発主に売却して約80億円を工面したが、この際、優遇措置が適用されると見込み、売却で得た利益を申告しなかった。
ところが、東京国税局の税務調査の結果、同社が優遇措置の適用を受けるために税務署に申請したのは、期限となる05年5月を1年も過ぎた06年5月だったことが判明。このため、同国税局では適用を認めず、工場跡地の売却益を申告しなかったとして、06年3月期に申告漏れを指摘、追徴課税(更正処分)した。
節税するつもりが、逆に多大な税負担を招いたことに、明電舎広報室は「(申請の遅れは)担当者の認識不足によるミスが原因。指摘は真摯(しんし)に受け止めたい」と話している。
税法に詳しい浦野広明・立正大教授は「似たケースはまれにあるが、税務上の優遇措置を受けるのに、申請の期限や条件があるのは当然。単純ミスの代償としてはあまりに重いが、今後の教訓となるだろう」と指摘している。
(2007年7月9日14時31分 読売新聞)

これは事業用買換え特例のあまりにも初歩的なミスですね。
まあ申告もれといっても、意図的に所得を隠したわけでもないので読売新聞よりははるかにましと思います。
しかしよくわからないのが

同社は05年3月、工場跡地約1万9000平方メートルの半分をビルの共同開発主に売却して約80億円を工面したが、この際、優遇措置が適用されると見込み、売却で得た利益を申告しなかった。

この80億は決算でどう経理処理したのでしょうか?未入金でしょうか?
入金があれば建築はまだだったでしょうから、圧縮特別勘定等を使わなければ固定資産売却益がそのまま計上されてしまいます。特別勘定を使った段階で、何らかの申告が必要なのは気がつきそうですが・・・。

税法は勉強しても勘違いや思い込みが結構あります。私なんかは自分自身でわかりきっていると思っているような事でも、なるべく誰かとディスカッションするようにしています。
自社の経理社員の勘違いでしょうが、税理士に一度相談しておけばこんな初歩的なミスを犯さずに済んだはずです。
しかしもしこれが税理士のミスだとするととんでもない賠償額になりそうですね。(((((((( ;゚Д゚))))))))ブルブル

■ 追記

この会社の決算書を見ると、利益処分により「固定資産圧縮特別勘定積立金」を積み立てていますね。
http://www.meidensha.co.jp/pages/corp03/report/h18-3s.pdf
決算にも大きく影響する処理なのに、監査法人の方から何のアドバイスもないのでしょうか?(税金は会計士には関係ないか・・・。)