下流社会マーケティング
前作「下流社会」がベストセラーとなった三浦展氏の新しい本が出ましたので早速読みました。
- 作者: 三浦展
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2006/09/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者は元々マーケティングのプロで、前作「下流社会」がベストセラーになり次々と講演依頼が殺到し、かなりの講演をこなされたようです。
この本はその講演で話されていた内容を本にまとめたもののようで、やはり下流社会というものをマーケティング的にとらえる話に講演のニーズがあるようです。
「下流社会」というある意味過酷な社会状況を、ビジネス的あるいはマーケティングの材料にしようと考えるというのもある面すごい話ですよね。
しかしこの本にもある「下流社会」という現象をマーケティングのレベルに落としていったときに感じるこの違和感は何でしょう?
本の内容は「下流社会」という現象をマーケティング的にどう捕らえていったらいいかという読者が一番興味がある点を述べている部分は少なく、ごく一般的な世代別の分析が本の大部分を占めていてちょっとがっかりです。
もう少し「下流社会」や「格差社会」をメインテーマで切り込んで欲しいですね。
特にこの本で大部分を占めている世代別に人間を分析する方法論は時代遅れの気がして仕方ありません。
例えば私自身は新人類と呼ばれた世代ですが、この本の中で述べている新人類世代の特徴にはほとんど当てはまりません。
あと著者は車のマーケティングが得意なようで、日産のキューブのヒットをあたかもマーケティングが成功してヒットしたかのように解説していますが、それならば日産は三浦氏にマーケティングをすべて任せればいいのになぜしないのでしょう?
たとえばあの天下のトヨタでさえ素人から見ても「こんな車売れんやろ?」と思うような車を乱発し、廃盤になる車種が続出しています。
トヨタがマーケティングの費用をケチっているとは思えませんし、そうなると今までのマーケティングというものはそれ自体が所詮結果論に過ぎず、後になって偶然成功した成功例を好きなように言ってるように思えて仕方ありません。
とりあえず、この本がベストセラーになる事はないと思います。