yoshida's blog

京都で税理士をしている吉田貢のブログです。

[時事ネタ][本]ニュースを聞いているだけではわからない事が多い!

最近特に思うことですが、バイアスのかかっていない情報を入手する事はやはりかなりの努力が必要のようです。

久間発言 自民部会で賛否両論

自民党国防関係合同部会が1日、党本部で開かれ、久間章生防衛相がブッシュ米大統領のイラク開戦判断を「間違っていた」と批判し、米側の反発を招いている問題について議論した。柳沢伯夫厚生労働相の発言問題と合わせ今年夏の参院選への影響を懸念する声が出る一方、米国内でブッシュ政権への批判が強まっていることを反映して、久間氏を擁護する意見も出た。
 久間氏の発言について、政府は米政府からの問い合わせなどに対し「開戦当時の個人的見解を述べたもの」と説明している。久間氏自身も「言い方に注意しないといけない。感想といえども言わない方がいいと思った」と釈明していた。
 しかし、舛添要一院政審会長は「国民にきちんと説明しないと参院選の争点になり得る」と参院選への影響に懸念を表明した。大野功統防衛庁長官も「間違った判断をもとに(イラク復興支援活動に)参加したとなったら自衛隊員の誇りを傷つけることになる」と指摘した。
 これに対し、加藤紘一元幹事長はブッシュ大統領自身や当局者が誤りを認め、米国民の6割がイラクへの増派に反対している状況でなぜ久間氏だけが米国に怒られなければいけないのか」と米国を批判、「久間氏は世界の常識を言ったにすぎない」と擁護した。
2007年2月2日(金)03:01 産経新聞

これは数日前のニュース。
久間防衛大臣の発言はかなり不適切で、何でこんなレベルの低い人間を国防という重要なポジションの責任者にしたか大いに疑問です。
柳沢厚生労働大臣などよりこっちの人を更迭して欲しいのですが、その後の加藤紘一氏の発言がかなり気になります。
加藤紘一氏は

ブッシュ大統領自身や当局者が誤りを認め、米国民の6割がイラクへの増派に反対している状況で…

と発言しています。
これをあまり注意せず読むと
「うん、確かにイラク戦争は6割のアメリカ人が反対しているようだし、この前のアメリカの中間選挙では、イラク戦争について反対する人が多く民主党が圧勝していたようだし・・・加藤氏の意見も一理あるかな。」
このような考え方をする日本人がほとんどではないでしょうか。
どちらかというと保守的な考え方をする私でもそうでした。(しかし加藤氏は変なところで存在感を出そうとしてなんか痛々しいですね…。)
しかしこの前買って読んだ「ブッシュのあとの世界」を読むと、自分の認識と実態は全然違うではありませんか。

著者の日高義樹氏はアメリカの政治については日本でも第一人者だと思うのですが、著者によれば、この前のアメリカの中間選挙の結果はイラク戦争の可否ではなくイラク戦争のやり方や進め方に対する不満が出たものとの事です。
アメリカでは、民主党の次期大統領候補といわれるヒラリー氏でさえも中間選挙当時はイラク戦争には反対しておらず、中間選挙で当選した民主党の候補者でも、ほとんどがイラク戦争のやり方を批判している候補が当選したとの事です。
その中間選挙結果を受けてブッシュ大統領は、イラク戦争を実質指揮してきたラムズフェルド国防長官を更迭し、同長官がすすめてきた最小限の軍事力よる戦争を実質方針転換して、イラク戦争に勝つために増員を決めたようです。
加藤氏がいみじくも発言した「米国民の6割がイラクへの増派に反対」というのは、アメリカ人の6割がイラク戦争に反対しているように聞こえますが、本当はアメリカ国民の6割がブッシュ大統領が示した今後のイラク戦争のやり方(増派)に反対しているのであり、大多数のアメリカ国民がイラク戦争自体に反対どころか負けて撤退する事は決して望んでおらず、「撤兵するべきだ」とは言っているが「すぐに」とは言っていないようです。(現状で撤退すればアメリカの負けでしょうから・・・。)
つまり大多数のアメリカ人は現在イラク戦争自体には反対していないのです。
したがって加藤氏の発言は的外れもいいところで(わざと印象操作をしようとしているかもしれませんが・・・)、世界の常識どころか久間氏ともども苦しんでいる同盟国のアメリカの足を引っ張ろうとする同盟国の国会議員としては情けない行為です。(しかしこの人は自民党の中にいて他人の足を引っ張ることが大好きなようです。何で自民党にいるのか不思議な人物。)

その他にもこの本はアメリカの
・本当の保守について
・孤立主義の台頭
・今後のアジア戦略
・日本と中国に対しての考え
民主党が政権のついた場合の日本への影響

などなかなか興味の深いテーマが多く、アメリカに対する見方が変わるお勧めの本です。