yoshida's blog

京都で税理士をしている吉田貢のブログです。

自己株式の売買についての私的意見 追記1

昨日は「自己株式の売買についての私的意見」というエントリーを書きましたがその追記です。

支部の研修委員で自己株式の売買における発行法人の税務上の取り扱いについて議論していたのですが、私の意見は発行法人が自己株式をどんな価額で売買しようが資本等取引に該当するため、発行法人の課税所得には一切影響が無いという意見なのですが、委員の先生の中にはやはり高額および低額で売買した場合は寄付金・受増益が発生するという意見の先生もいらっしゃいました。

その意見の大きな根拠とされたのが以下の本の記述です。

税務相談事例集〈平成19年版〉―各税目の視点から回答

税務相談事例集〈平成19年版〉―各税目の視点から回答

その本の99ページで

「非上場株式を低額で発行法人に譲渡した場合の取扱い」という設問で解答の中に以下のような文章があります。

ただし、自己株式の売買価格を時価より低額とした事が、何らかの利益移転を目的とした損益取引と資本取引とを抱き合わせした結果であると認められる場合には、売買価格を時価に引きなおしたところにより課税関係が整理されることもあると思われます。

とあります。
普通に読めばこれは暗に安すぎたら受増益として認定される可能性もあるよと言っているのだと思います。
大蔵財務協会というのは国税庁の直轄の団体でもあり、実務家からするとある程度ここの本には国税庁の意見が入っているものと認識されています。

これを見るとそうなのかなあとも思いましたが、自己株式の改正が平成18年でこの本は平成19年版と少し古く、改正の内容がちゃんと反映されているか疑問でしたので最新刊を取り寄せて確認してみました。

税務相談事例集〈平成25年版〉―各税目の視点から解説

税務相談事例集〈平成25年版〉―各税目の視点から解説

本が届いたので中を見るとなんと以前の設問自体が消えていて、代わりに

  • 法人が自己株式を取得した場合の課税関係 P122
  • 法人が自己株式を譲渡した場合の課税関係 P128

という2つの設問になっていて、内容を見ると高額および低額で売買した場合の取扱いについては一切触れていません。

以前と同じ見解なら普通に考えて設問も変えないでしょうし同じ記述を残すと思います。やはり自己株式の改正に伴い、発行会社が行う自己株式の売買はすべて資本等取引という認識に国税局もなったものと思います。


改めて言いますが発行会社が自己株式をどんな価額で取引しても、発行会社の課税所得には一切影響を及ぼさないと思います。(私的意見)

自己株式の売買についての私的意見

またまた自己株式の話です。

私が所属する税理士会支部で今期から研修委員をしているのですが、今年の年末に行う支部の研修のテーマが「非上場株式の税法上の売買時価」というテーマで研修内容を委員で集まって検討しています。

この非上場株式の時価という考え方は税法によって違うのですが、昨今では非上場株式の売買となると自己株式の取り扱いを避けて通れません。自己株式とはその名のとおりその会社が発行している株式の事です。

法人税における時価とは法人税基本通達9-1-14において定められているのですが、問題は株式の発行会社が自社の株式の売買を行う場合です。

法人税法基本通達で定めている時価で売買すれば特に問題は起きないのですが、ケースとしては以下のケースが問題になると思います。

  • 自己株式を買い取り

①時価より高額で買い取り
②時価より低額で買い取り

  • 自己株式を売却

③時価より高額で売却
④時価より低額で売却


発行会社の売買の相手方の税務に関してはそれぞれ各税法で規定されていますので今回は言及しませんが、問題となるのは発行会社の税務上の取り扱いです。

法人税においては平成18年度の税制改正において、株式の発行会社において自己株式の取得・処分は「資本等取引」として取り扱われる事になりました。<法令8①一>

また法人税法においては各事業年度の所得の金額の計算において、資本等取引に該当するものを除き、資産の販売、有償または無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲り受けであっても、収益の額に計上しなければならない事を規定しています。

従って株式の発行会社においての自己株式の取引は資本等取引ですので、取得・売却に係る取引は基本的に課税所得に影響を及ぼす事はありません。


私も基本的にこの考えで、発行会社がどんなに高額または低額・無償の取引を行っても課税所得に影響を及ばないという考え方です。(ただ取引相手及び発行会社の株主は高額または低額・無償取引を行った場合は、寄付金・みなし譲渡・みなし贈与等により課税所得に影響がでるケースもあります。)


国税庁のサイトに掲載されている清水秀徳氏の研究論文でも同じ考え方ですね。
http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/66/12/


新日本監査法人の本も基本的にはこの考え方ですね。

自己株式の会計・税務と法務Q&A

自己株式の会計・税務と法務Q&A


ただ色々な本やサイトを見ていると①と④は相手方に対する寄付金、②と③は相手からの受増益になると主張している人が多数います。


税理士法人タクトコンサルティング
http://www.higashi-nipponbank.co.jp/pdf/consul/news40.pdf

日本ビズアップ
http://www.mit-morita.co.jp/img/freelink/k_r/tax/tax_repo24.pdf

タビスランド
http://www.tabisland.ne.jp/explain/kabushiki/kabusiki_6.htm


ただ寄付金・受増益になると主張されるのはいいのですが根拠条文等が一切提示されていません。


繰り返しになりますが法人税の自己株式の課税所得に係る条文等は<法法22>と<法令8①一>しかありません。寄付金・受増益になるというのは、平成18年の改正前の自己株式を資産として取り扱っている頃の感覚で主張されているような気がしますね。


現状では条文や通達で規定していない以上、発行会社が自己株式をどんな価額で取引しても、発行会社の課税所得には一切影響を及ぼさないと思います。(私的意見)


※まあ通常は基本通達の時価で売買すると思いますので、変な節税スキームが出てきて極端な価額の売買事例が出て問題になってきたら何らかの改正になる気はしますね。

税理士は業務量に合った顧問料をもらわないと後で後悔します。

少し前の話ですが、とあるコンビニを経営している会社から解約の申し出があり顧問契約解除となりました。

もともとその会社は事務所のスタッフの前に勤務していた事務所の知り合いの方で、契約時に大変資金的に厳しいので顧問料安くして欲しいとの御希望でした。

うちのスタッフの知り合いでもありその彼が担当するという事と、まあ業績が伸びてきたら値上げさせていただくという事で業務量の割にはかなり低い価格で顧問契約を結びここ数年間はその顧問料のまま業務を行ってきました。


しかしその会社がコンビニをもう一店出店する計画が出ました。

担当の彼も頑張っていたしそろそろ値上げをお願いしようかなあと思っていた矢先に、先方から顧問契約解除の申し出がありました。
理由を聞くと、とある人(定年退職者らしい)が無料で経理くらいやってあげるよ~と言ってもらったので、そちらでやってもらうという事でした。


なんかがっかりすると同時にヒドイ人やな~と思いました。


また別な会社ですが、創業時から顧問させて頂いた会社で最初は全然お金が無かったので顧問料も0円で仕事をしていました。

まあその若い社長を応援しようという気持ちもありましたし、その後その社長も頑張られて業績も上がってきました。
それでもやっぱり創業時からみているし、これは自分の永遠の顧問先だという意識がどこかにあったので、これも業務量の割には顧問料も低目の金額でずっときていました。


しかしまた色々な諸事情によりこれも先方から顧問契約の解除の申し出があり、なんかこれもがっかりしましたね。


顧問先からの契約解除の申し出というのは税理士事務所的には良くあるケースで、その事務所の能力不足や対応への不満、顧問料に対する感覚の違いなどで様々なケースがありますが、それはそれで仕方ありませんしがっかりする必要もありません。


ただ上記の2つのケースのように、温情的に顧問料を安くしたり、応援したい気持ちで顧問料を低く抑えていたりすると、解約時に「なんだこの人、こっちの気持ち全然わかってくれていないやん。」とがっかりする事になります。


その顧問料を安くしてもらっているというのは安くしてもらってる側からはなかなかわかってもらえないかもしれませんし、事務所側からのアピールも足りないかもしれません。


おそらくこのがっかり感は、こちらは気持ちが入ってお付き合いさせていただいているのに、相手からしたらただの会計事務所とビジネス的に付き合っているにすぎないのを、勘違いしちゃっている自分にがっかりしているんですね。

本来であれば気持ちをわかってもらえる相手にしかしてはいけない事を、自分で勘違いしてこの人はわかってくれてると思いこんじゃうんですよね。


いくら知り合いとかでも会計事務所はある程度業務量的に適正な報酬を請求して、その報酬が高いと思う人とは付き合わない方がお互いの為です。


もし顧問料が安くても応援したい時は、なかなか判断は難しいですが人の気持ちがわかる社長にしかしたらダメですね。


苦い経験でした。

自己株式を買い取ってもらった場合の個人に対するみなし配当の考え方っておかしいでしょ??

自己株式とはその名前のとおりその会社が発行した株式を自分自身(会社)が買い取る事が出来る制度です。

最近は使い勝手絵の良さから中小企業でも株の整理の時や相続税の納税の為などに使うケースが増えてきています。


この前ある顧問先からの相談で、株を整理したいというお話がありました。

そこで自己株式の事を説明して薦めたのですが、調べていくと今回のケースはなんじゃこりゃっていう取り扱いにぶつかりました。

自己株式の買い取りについて何度か経験あり、税務上の取り扱いは自分自身では理解していたのですが、改めて調べるとすごい不合理な点があります。


それは売った個人株主の方の税務上の取り扱いについてです。


自己株式を発行会社に売却した場合は売った方からしたら株の譲渡のように思えますが、税務上の取り扱いは以下のようになっています。

買取価格-資本等の金額=みなし配当(配当所得)

資本等の金額-株式の取得価格=株の譲渡損益(譲渡所得)

中小企業の場合は一般的にはプレミアム付きで増資を行いませんから基本的には

資本等の金額 = 株式の取得価格

となります。


今回相談があったケースは以前に社長から役員に時価で売却した株を今回会社で時価で買い取るというケースです。


極端なケースで例にすると

100万円の資本金の株を社長が役員に時価500万円で売却して、今回会社がその役員から時価500万円で買い取るケースとします。


この場合みなし配当は

500万円(買取価格)- 100万円(資本等の金額)=400万円

株の譲渡損益は

100万円(資本等の金額)- 500万円(株式の取得価額)=△400万円


このようにこの役員が500万円で買った株を500万円で会社に買い取ってもらうと、実質的なもうけは0円なのに配当所得400万円が課税されるというとんでもない事になります。

  • 所得税の場合は株の譲渡所得△400万円は他に株を売った利益があれば通算できるがなければ切り捨て。
  • 上場株式等については株の譲渡損と上場株式等の配当を通算できる制度あり。
  • 法人については譲渡損も認識されて法人の利益から控除され、なおかつ受取配当等の益金不算入制度が利用できるためみなし配当の額が多ければ多いだけ有利。


本も買いましたがこの本は法人の処理がメインで個人株主が売った場合についてはほんの少ししか記述がありません。

自己株式の会計・税務と法務Q&A

自己株式の会計・税務と法務Q&A


取り扱いはこれで間違っていないと思いますが、違っていたらコメントお願いします。

現時点では所得が無い所に課税するなんてものすごく不合理だと思います。担税力が無いのに課税する事は所得税の基本的な考え方からしておかしいと思いますね。


上場株式等と同様の損益通算の制度が出来る事を望みます。

昔バイクに夢中でした。

少し前の記事ですが小型二輪車が若干売れているようです。

http://response.jp/article/2013/05/14/197856.html


おそらく今の若いコの間でバイクが流行っているわけでもないでしょうから、これらはすべてリターンライダーと呼ばれるおっさん連中が購入しているのでしょう。


私も昔20代前半頃ににバイクにハマっていた時期があり、バイクを何台も所有したり、休みの日はトライアルバイクで山の中を駆け回ったり、ロードバイクで峠に走りに行ったりしていました。

お金もほとんどバイクに使い、バイクがあれば何もいらないってくらい夢中でしたね。


しかしいつまでもそんな事をしていられるわけでもなく、税理士になると決めて会計事務所で働きだして税理士試験の勉強を開始すると同時に、所有していたバイクを全部売却してすっぱりとバイクは止めました。


あれから25年、念願だった税理士にもなる事が出来て自分で事務所を構える事が出来たのですが、ふとあの当時の事を思い出す事がありますね。


この前書店で昔乗っていたヤマハのRZというバイクの特集の雑誌が出ているのですごく懐かしく思わず買ってしまいました。



私が乗っていたのは当時ナナハンキラーと言われたRZ350で、あの頃はお金は全然なかったけど楽しかったな~。


やっぱりバイクというのは自分の中では今でも特別なもので、たまにバイク雑誌とかも買ったりして心の中で少しブスブスと燻っている部分があるのは認識しています。


今は乗りたいと思うバイクもあるのですが、いかんせん自宅に駐車できるスペースが全くといっていいほどありません。

また今現状の趣味であるゴルフと筋トレ以外にバイクなんかに再度ハマってしまったらエライ事になりそうな気がします(^_^;)


今この燻っている気持ちが今後醒めてしまうのか、それとも爆発して中年リターンライダーになるのか今のところわかりませんが、まあ自然な気持ちに任せましょう(笑)

チェーンの緩みは気の緩み

今は乗っていないのですが昔はバイクが大好きで、トライアル競技をしたり何台もバイクを所有したりしてすごく夢中になっていた時期がありました。
一時期、バイク屋でバイク修理のアルバイトをしていた時期もある位バイクが大好きで、今でもそこそこのレベルでバイクに乗れる自信があります。


今はもう亡くなってしまいましたがそのバイトをしていたバイク屋の親父さんがよく言っていた言葉があります。


それは題名にもあるように「チェーンの緩みは気の緩み」という言葉です。


バイク業界で一般的に言われている言葉なのか、その親父さんだけが言っていた事なのかはよくわかりませんが、もう30年位前の事なのに時々その言葉を思い出します。


バイクというものはエンジンからチェーン(中にはチェーンがないバイクもありますが)を使って、パワーを後輪に伝えます。このチェーンは金属製なんですが、乗っているうちに少しずつ伸びてきます。

調整自体はすごく簡単でほとんどのライダーが自分で調整していると思います。


しかしこれ位はいいかと思って放っておくとチェーンというものは結構緩んできます。たまにチューンがダルンダルンになっているバイクに乗っている人も見かけます。

こうなるとチェーンやチェーンがかかっている歯車の部分であるスプロケットにも良くありませんし、下手すると外れて大事故になる可能性もあります。


つまり普段のちょっとした基本的な事が大事で、邪魔くさいからと言って調整しないライダーは気が緩んでるという事を言いたかったのだと思います。


気の緩みというのは何もバイクのチェーンだけに限らず、仕事でも気を抜かないで細かで基本的な事を地道にやっていく事が大事だという事ですね。普段の仕事でも手を抜きたくなるような時はこの言葉を思い出すようにしています。


しかし最近よく昔の事を思い出すのは歳をとってきたせいでしょうかね。

顧問先の社長が亡くなって思う税理士の役割

先月に弊社の顧問先の社長が亡くなりました。


そのお客様は元々一緒に税理士法人をしているパートナーの載本先生のお客様で、彼と合同で事務所を立ち上げた後も載本先生が直接担当していました。

彼と合同で事務所をやる時に設立した会計法人の株式会社イコールを設立した時もまとまったお金を出資していただき、それ以来事務所の大事な顧問先として、事務所設立以来ずっと御支援頂いていました。


私自身も、ゴルフをご一緒させていただいたり、事務所主催の懇親会では顧問先代表としてスピーチしていただいたり、少し前にお見舞いに伺った時はお元気でまだ年齢も若かったのでショックでした。


顧問先の社長とは月に1~2回ほど訪問させていただいていろいろな話をしてそれが10年以上続いているわけですから、パートナーの載本先生も親族が亡くなったのと同じくらい悲しかったと思います。


私でも長い間顧問させていただいている会社の社長は自分の父親と同じ世代の方も多いのですが、自分の父親以上に多くの時間会って数多くの話をさせていただいてます。
顧問先なのですが逆にこちらの方が色々な事を人生の先輩として教えていただき、かわいがって頂いている社長も少なくありません。


そのような大好きな社長が亡くなる時の事は考えたくありませんが、私や載本先生が独立した頃に顧問先になっていただいた社長は年配の方が多く、今後このような事も増えてくる事は避けようがありません。


そして亡くなった社長もそうでしたがやはり会社の経営者は自分の死期が迫ると、もちろん家族のことも気になりますが、同じくらい自分の会社の事を心配されます。


幸いこの会社は2年ほど前に公務員だった息子さんが戻ってこられて、社長が亡くなった後は社長として事業を承継されます。


今回強く思ったのはやはり私達たち税理士の大きな役割とは、今の顧問先の社長が亡くなっても会社が存続していけるように相続も含めた事業承継のお手伝いをして、亡くなった後に承継した後継者の方をサポートしていく事でしょう。


私自身もお世話になった社長の後継者の方が会社に入社されている顧問先が何社もあります。自分が先に死ぬこともあるでしょうが、順番としてはお世話になった社長を見送り、後継者の方に事業承継がうまくいくようにサポートしていく事がその社長への恩返しだと思っています。