yoshida's blog

京都で税理士をしている吉田貢のブログです。

どう考えてもおかしい役員給与の損金不算入

平成18年度の税制改正により創設された「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」という制度があります。
これは、特殊支配同族会社がその業務を主催する役員(社長)に対して支給する給与のうち、給与所得控除額に相当する金額を法人税を計算する上で経費として認めないという制度です。
誰が考えたか知りませんが、立法趣旨からして論理破綻している天下の悪法と私たちの業界でも有名な制度です。
これは昨年の商法改正により1円でも会社が設立できるようになったため、節税目的の会社にねらいを定めたような法律です。

すごく簡単に説明しますと個人の所得税は

  • 個人事業主の場合

売上 - 経費 = 事業所得
(事業所得 - 各種控除)× 税率 = 税金
なっています。

  • 個人事業を法人にした場合(所得を全額給料でもらう場合)

売上 - 経費 - 役員給与 = 0
(役員給与 - 給与所得控除 - 各種控除) × 税率 = 税金

つまり給与所得控除の分が会社にした場合所得税が安くなるのです。

なにやら個人事業と法人との不公平をなくすのが立法の趣旨らしいですが、最近重大な事実に気が付きました。(少し遅いかも(笑))
つまりこの適用を受ける特殊支配同族会社とは、会社法でいうところの株式会社・合名会社・合資会社又は合同会社をさしているようで、会社法以外の法律に基づく「医療法人」「税理士法人」等はこの適用の対象外となるようです。

「税の公平」という観点で言えば、これらの法人にこの制度を適用しないのは明らかに不公平税制です。
これらの法人のうち特に医療法人は、節税目的により法人で事業を行っている割合がかなり多い業界です。なぜこれらの法人だけが優遇されなければならないのでしょうか?(私の事務所は税理士法人ですが、優遇していただかなくて結構です。)
医者に対する税の優遇が「概算経費」「事業税の非課税」に続きまた一つ増えました。

とりあえずさっさとこの悪法が廃止になる事を望みます。