yoshida's blog

京都で税理士をしている吉田貢のブログです。

ゴルフ会員権をめぐる税務事例

顧問先で大きな含み損のあるゴルフ会員権を持っている会社があって、今期あたりに何らかの処理をしたいという相談を受けました。
単純に外部に売却するかどうかも含めての今後検討する必要があるためアマゾンで購入。

判例・裁決からみたゴルフ会員権をめぐる税務事例

判例・裁決からみたゴルフ会員権をめぐる税務事例


色々調べていたら、「中小企業の会計に関する指針」にゴルフ会員権の評価の項目があります。

38 ゴルフ会員権
(1)ゴルフ会員権の評価
 ゴルフ会員権は、取得価額で評価する。ただし、ゴルフ会員権の計上額の重要度が高い場合で、以下の要件に該当するときには、減損処理を行う。
1.時価があるゴルフ会員権・・・時価が著しく下落したとき
2.時価のないゴルフ会員権・・・発行会社の財政状態が著しく悪化したとき

(2)預託保証金方式によるゴルフ会員権を減損する場合の会計処理
預託保証金方式によるゴルフ会員権の時価が著しく下落したことにより減損処理をする場合には、帳簿価格のうち預託保証金を上回る金額については、まず直接評価損を計上し、さらに時価が預託保証金の額を下回る場合には、当該部分債権の評価勘定として貸倒引当金を設定する。ただし、預託保証金の回収が困難な場合には、貸倒引当金を設定せずにゴルフ会員権から直接控除することができる。
「中小企業の会計に関する指針」平成20年度版 P22

この本のP171では、預託金会員制のゴルフ会員権の評価損計上は税務上認められないとはっきり書いてあり、私も以前からその認識でした。しかし「中小企業の会計に関する指針」では、減損処理をするようはっきりと記載しています。
上場企業と違い中小企業においては、税務上認められない評価損を計上する事はまずないと思います。まだ節税メリットがあるならともかく、金融機関の評価も下がり各種経営数値が悪くなる事を会社が自ら行う事はありません。
しかしよくみるとこの「中小企業の会計に関する指針」のゴルフ会員権の評価については、例えば「時価が著しく下落」とありますが、どのような状態が「著しい下落」が述べていませんし、「財政状態が著しく悪化」についてもどのような状態か述べていません。
このあたりは「中小企業の会計に関する指針」の有価証券の細かな規定とは違い、あまり強制的にならないで評価損を計上するかどうかはその企業の判断に任せたのだと思います。